新潮文庫の100冊限定カバー2013年夏バージョン(左と中央)
見え辛いけど一番左の江戸川乱歩はスイカ、中央の人間失格は花火。
一番右は去年買った人間失格の限定カバー(中身まったく同じ)

好きな小説の限定カバーを見るとつい買ってしまうw
川端康成の伊豆の踊り子のカバーが綺麗だったなー
(ガラス鉢で涼しそうに泳ぐ金魚のジャケット)
去年は太宰治(ピンクのカバー)の他にも夏目漱石(白カバー)とかヘッセの車輪の下(オレンジ)とかあってシンプルで綺麗やった



太宰治の人間失格を初めて読んだ時は結構な衝撃で
酒と女と薬に溺れ暗澹たる人生を歩んだ末に廃人へと成り下がった1人の青年の物語なんですけど
それはもう堕ちるところまでとことん堕ちる。ど〜〜〜〜しようもない
夢も希望も無い、どうしようも無い話なんですけど、そんな小説を書く太宰治に惹かれるんです

誰しもが他人に触れられまいと、隠している負の部分を確信的に突いてくる。
ものすごく繊細な、微妙〜な部分を突いて来るんです
人間て裏表あるでしょ?w
誰もが一番自分が可愛い。嫌われたく無い(←ここ裏)だからこそ本音は一切漏らさずりには自分が思う「善良な自分」(←表)を演じる。
この裏の部分を痛いくらいえぐってくるんです。
間の真の本質を見せつけられて読んでる途中何度かくたばりそうになりました。w
人間の作られた外側のハリボテでは無く、内側をよく見てるなと 。
ただただ、恐ろしい
大なり小なり誰もが心の片隅に持っている闇の部分をリアルに描いています


初めて読んだ時、葉蔵(主人公)は自分じゃないのか?って鳥肌立ったし。
(てか同じように思った人多いと思う。)
幼少期の大庭葉蔵の俛首帖耳な人格なんか、過去の自分そっくりで
小さい頃その大人が思う純粋な子供像があまりにも子供である自分自身とかけ離れ過ぎて不思議だったのを覚えてます
ドラマでよく見た子供がすげー子供ぽく見えてた(自分も子供なのに
子供の自分でも大人に気ぃ使ったりするし親の喜ぶ顔見たくてオーバーリアクションで喜んでみたり、外の人間には普通にお愛想の笑顔作ったりするし、今思えば大人の自分と何も変わんねーなと。
よくよく考えればドラマに出て来る子供像なんて大人が作り出した勝手な創造物で本当の子供は大人が思ってるよりももっと大人なんちゃうかなと思う。自分達が忘れてるだけで。
。。。っていう話を友達にしたら自分も同じ事を思ってたって言われて自分だけじゃなかったんだなと思った。w



生田斗真が出てる映画の方の人間失格も見てみたけどこっちはただ「堕ちるところまで堕ちた青年の物語」てな感じで
そもそも一番重要な部分が心理的な部分である人間失格に映画化はちょっと無理があるんちゃうかなと思いました
主人公の淫逸で破滅的な性格が出来上がった一番大事な幼少期は映画ではカットしてあるし

小説は恥ずかしいくらい人間の心の奥底まで描写されるんですけど
映画だと演者が原作読んで感情を表現しないとダメでしょ?
この微妙な心理が映画だと読み取り辛くて薄っぺらく見えてしまう
映画と原作いろんな作品読み比べて来たけど、やっぱ映画より原作の小説の方が面白いなと思った。
が、なぜか東野圭吾の作品だけは小説より映画やドラマの方が面白いという謎wガリレオw


話それたけどもう一個購入したのが江戸川乱歩の傑作集(左側)
江戸川乱歩めちゃくちゃ有名なのに実は最近まで一切読んだ事無くて
自分の初の江戸川乱歩デビューは「人間椅子」でした
前の職場の子が勧めてくれた小説だったんですけどしっくりこないオチで(自分的にはもっとおどろおどろしい最後を予想してただけにちょっとガッカリやった。
他のを試し読みしたらそっちのが面白かったです
傑作集にも何個か読んだ事のあるストーリーも入ってたりして
いつか全部集めてみたいなと思った本でした


























そして盆休みたっぷり時間を取れたので一気に読み終えた小説(読みかけもあったのでついでに読了
一番面白かったのはカフーを待ちわびてかな〜
基本ミステリーしか読まなくて、恋愛小説とかミステリー以上に見てて背筋凍るというか、恥ずかしすぎて無理やったんですけどこの小説はとても好きでした(好きすぎて映画まで見た)
右上のきみはポラリスも恋愛もので挑戦してみたけどこっちは無理だった。

「カフーを待ちわびて」
舞台は沖縄。黒のラブラドールレトリバーの“カフー”と共に暮らす主人公明青の元に一通の手紙が届く。差出人は、幸という見覚えのない名前。
明青が数カ月前、旅先の神社で冗談まじりに「嫁に来ないか」と書いた絵馬を見て、『その言葉が本当なら私をお嫁さんにして下さい』と手紙で伝えてきた。
その後、突然明青の前に幸と名乗る女性が現れる
といった話。
カフーってのは沖縄の古い言葉で「幸福、良い知らせ」を意味するそうです。
作中で出て来る「カフーアラシミソーリ」という言葉は「幸福でありますように」という意味らしい。
ふわ〜っとした世界感が好きでした
これは小説も映画もどっちもおすすめです

後の作品はぼちぼちかなぁ。。w
東京島は無人島に漂流した若い男衆23人に対して女が一人という猥りがわしい設定。
最初の方の話がきちんと詰めてあっただけに最後の雑な終わり方が何とも言えんかった
最後なんか駆け足で終わったし。よく分からん終わり方やった。
占い師ってなんやねん。。w

インシテミルは「ある人文科学的実験の被験者」になり、7日24時間監視付きで隔離生活するだけで時給11万2000円がもらえるという募集に釣られ、集った12人がより多くの報酬を巡って殺し合うゲームって設定で、もうちょいバトルロワイアル的な感じかなと思ってたんですけど危機迫る感じも無く終わった。ちょっと物足りない感じでした。
あ、平面いぬ。は良かったな
1人の人間が書く小説の幅ってだいたい決まってくるというか書き方やストーリーが片寄ってくるんですけど乙一だけはなんか違う。温かいストーリーを描く白乙一に、おどろおどろしい、世にも恐ろしい小説を描く黒乙一。
たまにグレーの乙一が書く小説もあったりして
1人の小説家で話やイメージが片寄らずここまで幅広く描いている稀有な人は初めて見ました
乙一はミステリーで一番好きかな。今んとこ

2 コメント:

ぱや さんのコメント... 2013年8月27日 13:22  

本はほとんど読まない私が人間失格だけは読めたー。
個人的には葉蔵の友達がさ、世間が許さないぞ、みたいな事言った時に、世間じゃなくてあなたでしょう?みたいな。
あのクダリがすっごく好きだった。

お前の女道楽もこのへんでよすんだね。これ以上は、世間が許さないからなっていう堀木くんのくだりやねw
「世間とはいったい何の事でしょう。人間の複数でしょうか。どこに世間というものの実体があるのでしょう」っていう
今まで喉の奥まで出かかったけど自分可愛さに飲み込んだ言葉達がずらずらと書いてあって読んでて何とも言えなかったね〜

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